負担付遺贈代用信託
負担付遺贈をご存知でしょうか?
例えば、信頼できる相続人や親族に相応の財産遺贈する代わりに、この受遺者に対して、
高齢の配偶者や障害をもつ子の生活を支援させる趣旨の遺贈です。
負担付遺贈を受けた者が負担した義務を履行しないときは、他の相続人は、
一定の要件の下、家庭裁判所に負担付遺贈に係る遺言の取り消しを請求することができます。
しかし、前述の例であれば、負担付遺贈の受遺者は、「高齢の配偶者が自ら家を出たために義務の履行ができないのでやむをえない」などの主張をするでしょうし、
そもそも家庭裁判所に遺言取り消しの請求をすること自体にハードルがあります。
こういったケースで、より確実に高齢の配偶者等の生活支援をするためには、家族信託が有効だと考えられます。
信託においては、受益者(例でいう高齢の配偶者)を保護するための様々な制度が用意されています。
例えば、信託監督人を設置すれば、受託者の任務違反があれば差し止め請求をすることができますし、
場合によっては受託者を解任することもできます。
負担付遺贈に限らず、負担付贈与についても同様に、負担となる義務の履行を確実にするという点で信託を活用するメリットは大きいといえます。
参考条文
民法
(負担付遺贈)
第千二条 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
(負担付遺贈に係る遺言の取消し)
第千二十七条 負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
信託法
(受託者の解任)
第五十八条
4 受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、委託者又は受益者の申立てにより、受託者を解任することができる。
この記事を書いた人
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司法書士法人equal
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